2017年4月25日火曜日

千年あったら世界中見たい

この半年、ダメよ。
ハツリ作業で、身体の芯が痛めつけられている。
街を歩いていて、身体の油が切れたようにギギギギギッと動かなくなる事が数度あった。
ハツリ作業だけでそこまでなる事は無いと、ハツリプロ萩原さんに言われた、
相談したある人に、それは精神的なモノだよと言われ、ハッとした。
医学を学んでいない者が「麻酔打って、メスで切ればOK」くらいの知識で人様の手術やってるようなモノだ。
鋭く尖った金属でダダダダダー!と暴力的な爆音響かせハツル作業が、コンクリートの奥にどう悪い影響与えてるのか!!!??? 
最近別のハツリプロの人に教わった「鉄筋に触れてハツってはいけない、鉄筋伝わって奥までヒビがいってしまう」も、理解していなかった、鉄筋にグイグイ押し当ててハツリ続けていた。
手遅れなミスも沢山やってしまった。
正しい知識が無さ過ぎて、自分のやっている事が不安で不安でしょうがない。
自分で作ったモノを自分で壊している矛盾、そこからくるストレスも大きい。
ハツリはじめて半年ほど、手持ちの道具でどうやれば最善の作業が出来るのかはわかってきたけど、今でも30分ハツッただけで、身体がギギギギギと固まる。
この不安をサッパリぬぐい去る事など出来そうにない、弱っちい!情けない事だ!!
あと1年以上ハツリは続くと思うと、かなりしんどい。

そんなだったんで、お金無いのにロンドン行った。
本気で、気晴らししたかったし、ちょっ逃走。
ロンドンでは、きっと何か大切な事を見出せるという気がした、し、。

一週間で帰って来るつもりが、おまけでさらに一週間、全くやる事の無い一週間はボーッと考えるにはサイコーだった。

一つ大きな勘違いに気付いた。
世界の大都市はモダンなビルで覆い尽くされているのだとばかり思っていた。
そのモダンが理想を失くし安っぽい商売とだけ結びついて無惨に劣化してしまった。だから次の新しい建築の流れを作らねばと世界中の建築家が奮闘しているのだとばかり思っていた。
でも、ロンドンはほとんど古いレンガの建築だった、安直にモダニズムに飛びついたりしていない。
「このモダニズムとやらは、イケてますかね?数十年かけて考えてみますかね」
最初から、そのくらいの態度だったのだ、賢明。
うひゃーって飛びついて、古いモノ壊しまくって、全てを塗り替えた東京が変だったんだ。

V&A博物館というのが良いとウワサを聞いていた。
ヒースロー乗れず乗れずの一週間、最後の日に調べてみたら宿から徒歩3分だった。
様々な国、時代の建築の装飾などが大量に展示されている。(こんな博物館があるのか!)「装飾」の事をこんな風に見る機会など初めてだからかなり興奮した、作り方が示してあったりもする。改修工事の現場も展示の一つとしてガラス張りだ。
作る事の悦びを様々な角度から伝える博物館なのだ。
装飾には共通する基本メッセージとして「この建築を永く大切に使ってね」というのがあるのだとハッキリと知った。
最後がウイリアムモリスとアーツ&クラフトの部屋、数分しか見なかったけど、わかった。モリスが感じた危機感、問題意識。それに対するアンサー。

僕は、日本で、「蟻鱒鳶ルを二百年もたすんだ」と鼻息荒く言い続けている。
けど、そんな事言ってる人他にいないし、あり得ぬ妄想に進むバカみたいでキホン孤独なんです。
だけど、ただの田舎の観光地じゃないバリバリの先端都市ロンドンに、二、三百年という建築がゴロゴロあり、それを成り立たせる様々な技術や方法が、街を見ても感じられるし、V&Aみたいなトコロにはキチンと展示もしてある。

なんだ、俺が夢見た状況、余裕で出来てるじゃないか、、凄いな、、。

ビビって知恵熱出た。

飛行機乗れずにフラフラ彷徨いながら、、じゃー俺は何をすれば良いんだ、
ロンドンの先を考えなきゃなぁ、。

帰国しても、ずーっとそんな事ばかり考えていた。
少しずつロンドンで見たモノの意味が繋がってきている。

最近、友人が京都の町家を買ったので、改修工事の手伝いに行った。
土壁はとても薄かった。木と竹と土、完璧な自然素材で、こんなに軽量な建築ならば、数十年で壊したとしても、環境への負荷はとても小さい、美しく絶妙な技術だ。
この建築ならば、永く継承する意味がある。
でも、廃棄が困難な新建材や接着剤、しかもドンドン分厚く、重くなっていく最近の建築。地面に杭を打ち、地震に耐えるようにと複雑な技術を駆使し、高級になり続ける建築を数十年で壊して良いはずない。
これ以上経済回す道具として建築を使うみちは、経済の破綻をまねくだけだ。

大きな転換期だと思う。
現代の建築を長くもたせる方法を様々な角度から本気で追求しなきゃいけない。

この日本の危機に応え切れる建築は、世界にも通じるはずだ。
そうよ、ロンドンだって行き詰まってる、あまりに立派過ぎる基本形が居座って、人間にとって何より大切な「モノを作る悦び」が、手の届かない高級な作業になってしまっている。

岡の一生ズボンはロンドンっ子の物作り魂に再び火をつけたはずだw。


「蟻鱒鳶ルでいくぞー!オー!」気を高めている。

*写真はV&Aの虎*




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